読書ざんまいよせい(036)

◎エーリヒ・ケストナー「終戦日記一九四五」(岩波文庫)


 ナチスに批判的で、戦時中執筆禁止だったドイツの児童文学作家ケストナーの、1945年2月7日から8月2日までの書きとどめた日記、時には、今から振り返るとナチス幹部とそれを支えた民衆の滑稽さはあるが、根底にはそれに対する怒りと悲しみを表明する。
 「戦後」の記述だが、ある女優がヒトラーと向かい合って、お互い、手を斜めに挙げるハイル・ヒトラーの敬礼と、握手で手を差し伸べる動作を繰り返したなど、チャップリンの映画のようである。
 「ドイツ人には国民になる素質がない」という彼の言葉は、私たちにとっても十分に重い。
 被害だけではなく、今もなお続く、加害の歴史も含めて、「1945年を銘記せよ!」

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