本職こぼれはなし(013)

 久しぶりに、9月に行われる、ある研究集会に、1週続けて2回、演題をエントリーすることにした。以下抄録である。
演題名:病児保育における溶連菌感染症トリアージについて
【目的】
 A群溶血性連鎖状球菌感染症(以下溶連菌感染症と略す)は、小児期において、迅速な診断と適切な抗生物質治療を要する、Common Disease の一つである。今回私たちは、運営する病児保育の入室時にあたり、溶連菌検査(2023年8月からは、保険収載を期にPCR法を採用)でのトリアージを行っているので、その結果を報告する。
【対象と方法】
 2024年1月から、2024年6月まで、病児保育入室時及び在室時に行った溶連菌PCR陽性児13例の年齢、症状、治療、その後の経過につき分析した。使用機器は、アボット社ID NOW™ ストレップ A2を使用した。治療は原則として10日間のアモキシリン(AMPC)投与とその後、PCR陰性を確認してから、投与を中止した。病児保育利用は、解熱後2日間とした。
【結果】
 年齢は、1~3才児 6例、4~9才児 7例であった。症状は、ほぼ全例に37.5度以上の発熱はある他、特有の発疹 5例、いちご舌 2例を呈した。家族内感染は、3例、再発例は1例認めた。RS感染症との合併が 1例にあった。
症例1) 4才男児。溶連菌感染症の治療後は、頻回の病児保育利用はなくなった。
症例2) 5才女児、今回の対象児ではないが、品胎児で出生の、第三子。兄、姉ともに溶連菌感染。患児は、その後、急性糸球体腎炎にて入院加療となった。
【考察】
・適切な抗生物質治療にあたり、スティック法による溶連菌迅速検査も含めたこうしたトリアージは有用である。
・合併症としての糸球体腎炎は、依然としてリスクがあり、充分留意しなければならない。

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