定期診察にやってきたKさん、いつもの通り、やたらに話が長い。
「せんせー、この頃はな~」
病児保育を、ひ孫のTちゃんが利用しているのにかこつけて…
「ちょうどよかった、Kさん、Tちゃんな、熱は下がったが、『咽頭結膜熱』いうてな、もう2日くらい病児保育にあずけたほうがええで、そない、お母さん(Kさんの孫にあたる)に言付けしといて…」
「わかったわ」
「ところで、Kさんの困ってることは何やねん」
「そないなこと、もう忘れてしもたがな」
こうして、話題をそらすのも一策かもしれない。
乳児から幼児に、夏以来、少し下火にはなったが、アデノウイルス感染症(咽頭結膜熱)が流行っている。(図左は、10月26日現在の、大阪市における、流行状況(感染症サーベイランスでのまとめ、図右はアデノウイルスの電子顕微鏡写真 Wikipedia から)特有の咽頭初見と時に結膜炎を伴うので診断は比較的容易である。迅速検査もあるが、特異的な治療法がないので、最近は、コロナPCR、インフルエンザ迅速検査優先で、あまりしなくなった。有熱期間が、他の疾患より若干長いのと、血液検査で、炎症反応がウィルス疾患では例外的に高めにでることが特徴である。