日本人と漢詩(008)

◎石川丈山(続々)


白牡丹
是《こ》れ 姚家《ようか》ならず 魏家《ぎか》ならず
玉杯露を承《う》けて 光華《こうか》発す
誰《たれ》か天上《てんじょう》 十分《じゅうぶん》の月を将《も》て
化して人間《じんかん》 第一の花と作《な》す
「立てば芍薬座れば牡丹」と言うが、鑑賞用に牡丹を育てるのは、古くから行われていたようだ。これからの季節、時に他家の庭先で見かけるが、正直、花が暑苦しい感じがしないわけでもない。白い牡丹はあまり知らないので、この色なら好きになりそうだ。「魏紫姚黄」は、牡丹の異名にかぎらず、広く著名な花の意味。愛好家だった姚家や魏家の好んだ色らしい。同じく牡丹を愛でた欧陽脩の「洛陽牡丹記」が出典と聞く。十分の月は満月、人間は世間。
「ちりて後おもかげにたつぼたん哉」(蕪村)(Wikipedia 「牡丹」より )
画像は、丈山の好みのい花色ではないは、東京国立博物館 TNM Image Archives から、葛飾北斎の版画「牡丹に胡蝶」。
宇野直人 NHKラジオテキスト・カルチャーラジオ「漢詩を読む―日本の漢詩(鎌倉〜江戸中期)2011年10月〜2012年3月

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