3 〔かいどう〕海棠
是《こ》れは庭の花ではない。瓶に購《あがな》はれた仲春である。歳寒くして草はまだ青くならない。今日は朝から甲鳥書林から送って来た「十九世紀仏国絵画史」の校合で暮らした。
昭和十八年三月廿一日、日曜にして春季皇霊祭の日
参考】
・(花海棠)Wikipediaより
・木下杢太郎画/前川誠郎編「新編 百花譜百選」(岩波文庫)
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3 〔かいどう〕海棠
参考】
・(花海棠)Wikipediaより
・木下杢太郎画/前川誠郎編「新編 百花譜百選」(岩波文庫)
54 ぼけ 木瓜
栗山重信の齎《もたら》せる枇杷《びわ》、丹子の画に箱がきす。日中周易象義を読み且つ抄す。石川富士雄氏所恵の木母《木瓜》開花す。
参考】
・ぼけ(Wikipedia)
・木下杢太郎画/前川誠郎編「新編 百花譜百選」(岩波文庫)
53 南天(なんてん)
昭和十八年十二月卅
参考】
・ナンテン
・木下杢太郎画/前川誠郎編「新編 百花譜百選」(岩波文庫)
86 [ヒヨドリジョウゴ] 鵯上戸
昭和十九年十二月六日 伝研
参考】
・ヒヨドリジョウゴ
・木下杢太郎画/前川誠郎編「新編 百花譜百選」(岩波文庫)
木下杢太郎という文芸家がいた。本名は、太田正雄、東大医学部皮膚科の教授、太田母斑の命名者として知られる。( Wikipedia 木下杢太郎)その彼が、生を終える直前に描いた、植物のスケッチ帳が遺されている。岩波文庫では「新編 百花譜百選」として刊行されている。ここでは、なるべく描かれた月日を合わせながら、順次紹介し、その植物の項を、Wikipedia などを使ってリンクしておく。また、当方のコメントも含む場合もある。ちなみに、彼の死後七十年以上、経過しているので、版権は消失している。
52 志茂つけ(しもつけ) 下野
昭和十八年十二月五日 此枝採之于植物園
自らの病魔にあがらいながら、戦争の敗色が濃くなってきた 1943年、これらの植物を見た時、彼の心境は如何ばかりだったであろうか?今は知る由もない。
参考】
・Wikipedia シモツケ
・木下杢太郎画/前川誠郎編「新編 百花譜百選」(岩波文庫)