日本人と漢詩(002)

◎森鷗外(続き)
當年(とうねん)の向背(こうはい) 群臣を駭(おどろ)かし
末路(まつろ)の凄愴(せいそう) 鬼神を泣かしむ
功業 千秋 且(しばら)く問ふを休(や)めよ
多情 偏(ひと)へに是(こ)れ 詩を愛するの人なればなり
          路易(ルートヴィヒ)二世
前回の詩に続いての詠唱。同じく、ルートビッヒ2世を扱ったものだが、より王に肩入れしたものになっている。起句は、在位当時の「国際」情勢を反映。1866年の普墺戦争(http://is.gd/9WADHU)では、最初、バイエルンは、オーストリア側についたが、ルートビッヒルートビッヒは、途中から、プロシアに味方する。このことで家臣と重大な対立があったことを指す。老獪ビスマルクにあっては、「詩を愛する人」で芸術家肌だったルートビッヒなどは「赤子の手をひねる」よりも御しやすい相手だったんだろう。
前回、触れたヴィスコンティの映画は、世紀末的、耽美的なタッチだと記憶しているが、映画に出てくる、これまたルートビッヒが愛好ンしたワーグナーの音楽が私には生理的にあわないらしく、途中で筋も分からなくなってしまった。
それはともかく、鷗外には、ルートビッヒの侍医で一緒に溺死したフォン・グッデンを讃える詩や後期の漢詩も捨てがたいものがあるが、機会があればと云うことに…
写真は、シュタルンベルク湖のパノラマ、wikimedia(http://is.gd/CJalJI) にあったので拝借。FBでは、大きいサイズはアップロードできず、はっきりしないが、水面の向こうにアルプスが見える。
【参考】鴎外歴史文学集〈第12巻〉漢詩(上) (ISBN:978-4000923323)より